出会えたことが幸せだと思える本。

私がBLに流れ着いた過程をちょっと思い返していました。

前にも言いましたが、わりと好きな作品に出会うと作者買いをしてしばらくはその人の世界に浸りきります。

十二国記にはまり、井上祐美子さんの中国の時代物にはまり、高殿円さんの遠征王シリーズにはまり・・・。

これらはBLではないのですが、独自の世界観がBLを読んだ時の感動に似ています。

なかでも、遠征王シリーズ（角川ビーンズ文庫）は貪るように読みました。

主人公は男装の女王アイオリア一世（オリエ）。

女なのに女たらしです。

『わたしのかわいいお花さんたち』と愛妾たちにいつも言っています。

また、それがちっとも気持ち悪くない。

麻々原絵里依さんのイラストなんです！

なんと言っても騎士の国のお話ですから、コスチュームが・・・もう垂涎もの！！

オリエは愛妾を囲ったり、温泉地に旅行に行ったり、結構気ままそうに見えるのですが、それは彼女の一面で。

本当は辛く悲しい過去を持っているし、王であることに誇りを持ちながらも常に真摯に悩んでいます。

そして、遠山の金さんみたく、身分を隠して城下に出かけるんです。

そこでは、誰が見ても男です。誰も、疑いません。

あとで女でしかも王とわかった時の彼らの驚きといったら。

もう、読者にはたまらないシチュエーションでしょう。

そして、彼女を巡る男達の戦い・・・。（相当、萌えます）

その先は・・・。ハラハラドキドキを超えて、胃が痛くなるほどの展開が待っています。

ハンカチは絶対持ってじゃないと読めません。

コミカルな部分が満載だから、余計にシリアスな場面が痛くて、痛くて。

5巻で一応完結するんですが、悲しくまた泣きましたね。

いっそ、今度生まれる時は彼女の世界に行って、彼女のお花さんたちになりたい、そして彼女を支えたい！と
思ったほど、彼女達と別れるのが辛かったです。

もう何年も前の本ですが、一番手に取れるところにおいてあります。

そして、地震や台風のとき、すぐに持って出れるようにいつも気に留めている本です。